CDLマガジン
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vol. 180
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コミュラボ
ライター
「これ、どうやって遊ぶんですか?」
「やばいなー、かわいいなー!」
そんな声が響いたのは、三股町社協の和室。大人たちが“お気に入りのおもちゃ”を持ち寄りました。
樺山玩具店は、樺山にNEW OPEN予定のおもちゃ屋さんです。実は、約1年ほど前から、樺山購買部にて一部販売を行なっていたのですが、この度、ようやく本格的に動き始めます。

樺山玩具店は、地域の人たちが大切にされてきたおもちゃを譲り受け、次の持ち主へとつなぐ場所。今回は、その本格始動に向けた第一歩として、地域のみなさんからこだわり玩具を紹介していただくため、玩具撮影会を行いました。

テーブルには、撮影を順番待ちする、お気に入りの玩具たちがずらり。どれも持ち主の思い入れのあるお気に入りばかりです。

おもちゃをカメラマンに託し、我が子を見守るようなまなざしで見守る持ち主たち。


1体ずつの撮影が終わるたびに、「クランクアップでーす!」という掛け声と共に拍手が湧き起こるその様子は、本当に愛情にあふれていました。せっかくなので、この日持参してくださったおもちゃのエピソードを少しだけご紹介します。
まずは、冒頭から存在感が隠しきれない、トイストーリーのウッディ。持ち主の古道さんは、トイストーリーが公開された時に最初のウッディを手に入れ、この子で3代目なのだとか。

「足の裏にANDY(アンディ)と書いてあるのは貴重なんです。おもちゃも大事だけど、持ち主のアンディもセットでトイストーリーの物語なので。仲間に裏切られても、仲間を見捨てないのがウッディの魅力。発売された当初は、USAのものしかなくて高かったんですが、値段じゃなくてクオリティーを買ってるんです」

続いて、彼女がそっと取り出したのは、なんと未開封のガルバルディα(アルファ)。数年前に買ったというガルバルディαは、ずっと押し入れの奥にしまわれ、時折眺めては愛でていたという大切なコレクションの一つです。

「顔がかわいいんです。ちょっと下膨れで……なんか愛嬌があるでしょ?」と、本当に嬉しそう。

国富町から参加してくれた吉岡さんは、国富町の伝統玩具「うずら車」の「法華嶽うずら車保存会」メンバー。国富町で古くから親しまれてきたこの工芸品も、現在では作り手がたった一人となり、2024年に保存会が発足されたとのこと。

「うずら車との出会いは、あるイベントで地域のおじちゃんに『これ、あげるよ』ってうずら車をもらったのが最初でした。すごくかわいくて、心打たれたんです。調べるうちに、作り手が一人しかいないと知って、コミュニケーションを取るようになりました」

今では保存会の一員として、うずら車の歴史や絵付けを調べ、作り手の育成や広報にも力を入れていらっしゃいます。吉岡さんは、うずら車をきっかけに郷土玩具が好きになり、今ではいろいろな地域の郷土玩具を集めているのだとか。この日もその一部を持ってきてくださいました。

最後に登場したのは、昭和レトロな物をコレクションしている霧島市在住の松尾さん。ボックスいっぱいの昭和レトログッズを持ってきてくれました。

この中で一番古いものは、1970年代のものだと言います。自宅には、この20倍以上ものグッズがあるという松尾さんですが、昭和レトログッズの魅力について次のように話してくれました。

「一番最初は、子ども時見てた物を懐かしいと思って買ったのが最初です。今は中国製とかいろんなものがあるけど、昭和レトロの製品ってほとんど日本製なんですよね。そんなに高くない玩具であっても作りがとてもしっかりしている。でもやっぱり、懐かしいってのが一番かな。今の時代にない味があるよね」

玩具の撮影とは言え、プロカメラマンによる本格的な撮影会だったこの日。

「子どもの夏休みってこんな感じで、おもちゃ持ち寄って、一緒になって遊ばせてましたよね〜」
「お気に入りのおもちゃを持って行って、友だちのとごちゃ混ぜになってわかんなくなったりね(笑)」
なんて話しながら、自分の好きなおもちゃについて語る大人たちの表情は、どこか無防備で、まるで子ども時代に戻ったかのよう。

持ってきてくださったどのおもちゃにも、それぞれのストーリーや思い出がぎゅっと詰まっていて、写真を撮る時間そのものが、なんだかちょっと特別なものになっていました。
大人も子どもも、無邪気でいられるような場所。

樺山玩具店のはじめの一歩は、そんな空気感を感じさせてくれるものとなりました。樺山玩具店の正式な情報は、Instagramをフォローの上、しばらくお待ちください!
どんな新たな出会いがあるのか、楽しみにしています。