CDLマガジン
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vol. 021
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蔵元 茂志
ライター
ギターに目覚めたのは中学の時。憧れたのは断然エレキだったけど、現実はそうもいかず。
最初は寮に誰かが残して行ったらしいクラッシックギター。そして、念願のエレキが手に入ると、宿題そっちのけで毎晩、寮の空き部屋にこもって、当時流行ってた「BOY」や「THE BLUE HARTS」の曲を弾きまくった。
丁度その頃、ラジオでヘビメタのギター講座があることを知った。でもそれは土曜日の真夜中。
当時の寮の規則は、消灯後にラジカセを使ってると即没収!数週間は返してもらえない。
命の次に音楽が大事な年ごろの茂志にはかなり残酷だった。
それでも、絶対にかっこいいギターが弾きたい!深夜の2時に同室の住民を起こさないように静かに目覚め、抜き打ちで見回りに来る寮母さんにばれないようにこっそりラジオを聞いてギターのお勉強をする。それが週末のスリルなルーティーンになった。
二十歳の時、願ってもないチャンスが来た。当時組んでた
「ラストウィング(最後の翼)」
と言うバンドで出たオーディション。何かの間違いで九州大会に出場できることに。
会場はあの『福岡サンパレス』!
そんな後にも先にもない大舞台で、茂志はまさかの大失態をやらかした!
ギターに縁のない人にも分かってもらえるように。
ギターには、演奏中に足元で音を変えるためのペダルがある。その時茂志は(見栄を張って)二種類のペダルを使った。
ここぞと言う大切な場面。緊張のあまり、二つのペダルを踏み間違えて……
バイオリンのような伸びやか~な音になるはずが、蚊の泣くようなありえないくらい貧弱な音に変身!
原因は二つのペダルの位置が近すぎたこと。ただそれだけ!
茂志は自分の目が見えないことを時々忘れてしまうらしい。
敬具