CDLマガジン
MAGAZINE
vol. 170
date
2025.04.07
Writer
コミュラボ
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コミュラボ
ライター
「三股町は、まだ可能性を秘めている」
そう熱く語るのは、三股町地域おこし協力隊の荒武 見希(あらたけ みるき)さん。現在、コミュラボで開催している、「場づくりサークル」のサークル長でもあります。
学習塾講師、営業、国会議員秘書、コンサルタント…と、さまざまなキャリアを持つ荒武さんは、2023年7月、故郷である三股町に戻り、地域おこし協力隊として活動を始めました。そんな数々の経歴を持つ荒武さんが、三股町で描く未来とは?
今回、荒武さんのエネルギーの源泉に迫りました!
荒武さんは、高校卒業後、福岡県の大学へ進学。国会議員秘書の経歴もお持ちの荒武さんですが、高校生の頃から政治家になりたいという夢があったのだと言います。
「選挙によって、首長が変わることがありますよね。実は、高校生の時、そうやって政治が変わった瞬間、地域にポジティブな影響が起きている一方で、父親の会社がネガティブな影響を受けていた光景を目の当たりにしました。その時、政治が人々の生活に与える影響の大きさを実感したのと同時に、光だけでなく、影の部分もいかに包含できるかということが政治家の大切な役割なのではないかと感じたんです。その頃から、人々の声に耳を傾け、より良い社会を目指したいという思いが芽生え始めました」
政治家になるという強い思いを抱いた18歳の荒武さんは、まず法律を学ぶことにしました。大学に進学した頃は、政治家になるためのルートだけを考えていたようですが、大学卒業後は、まず学習塾講師としてキャリアをスタートさせることになります。
「自分が在りたい政治家の姿を考えた時、法律や政策を理解していても、一般の人たちの感覚や課題を知らなければ、政治家として本当の声を拾い上げられないと気付いたんです。そこで、関心があった教育という分野で、学習塾に勤めることにしました。そこでは、学ぶことや目標を追う楽しさを伝えていたのですが、子どもたちに『頑張れ』と声をかけながら、ある時、自分自身が挑戦していないことにハッとしたんです」
その後、荒武さんは、よりハードな環境に身を置くため転職。今度は、ビジネスの世界を知るため、大手企業で営業として3年半勤務。それから、学生時代からの夢だった政治家を目指し、2019年の4月には、福岡県の県議会議員選挙に立候補したのだとか。落選こそしたものの「もっと地元をより良くしたい」という想いがより強くなり、東京のコンサルティング会社を経て、2023年7月三股町に帰郷。地域おこし協力隊として活動を始めました。
荒武さんのお話を伺っていると、全く別の分野のことをやっているようでも、ある共通した強い信念のようなものを感じます。荒武さんの「在りたい姿」とはどのようなものなのでしょうか?
「そうですね…在りたい姿としては、自分がまずはがむしゃらに挑戦すること。その姿が周りの人も熱狂させて、自然と人を巻き込めるような人間でありたいと思っています。それから、まずは自分がやってみるということは土台にありますね。成功や失敗するチャレンジのサイクルを回していくことは常に意識しています。地域おこし協力隊の仕事においても、それらが自分の軸になっているんです」
地域おこし協力隊に着任し、継続的な活動や単発の活動も含めると、その数は10以上にも及んでいるとのことですが、メディア等でも取り上げられた代表的な活動の一つが「ジャンカン馬」のオリジナルグッズです。幼い頃から馬が大好きだったという荒武さんは、郷土芸能継承のために身銭を切って開発したのだとか。このエピソードからは、「まずは自分がやってみる」という荒武さんの信念がまさに体現されているようでした。
そんな荒武さんがコミュラボと出会ったのは、着任してすぐのことだったと言います。
「地域おこし協力隊に着任しさまざまな活動を行う中で、コミュラボの存在を知りました。それから話を聞いて、コミュラボの哲学や目指すことを理解した時、もっと俯瞰した視点で地域を見ると、これまでとは違うものが見えてきそうな気がしたんです。もやもやとした課題感を相談してみたところ、『今度、場づくりサークルを始めるから、サークル長になったら化学反応が起こるのではないか』と声をかけられ、コミュラボとの関わりが始まりました」
場づくりサークルは、地域で「場」をつくりたい人や、空き物件を使ってほしい人など、いろんな人が集まり、「場」の未来について考える場です。実は、荒武さんは、コミュラボに出会うまで「場づくり」ということにあまりポジティブなイメージを抱いていなかったのだと話します。
「それは、数年前とあるスタートアップ系のプログラムに参加した際のことでした。一人のメンバーが居場所づくりをしたいと言い出したんです。その時の私は、居場所は一人ひとりが勝手に見つけるものだと思っていたし、少し違和感があった。でも、コミュラボに関わるようになってから『居場所』とは何なのか、なぜ地域に多様な『場』が必要なのかということの理解がかなり深まりました。すると、自然と、当時の経験と今の活動がつながったんです。まるで点と点が線で結ばれたような感覚です。今では、場づくりサークルを通して、『場』に関心がある人たちのやりたいことが少しでも実現できるようサポートしたいと思っています」
そう語る荒武さんも、今まさに新しい「場」を開こうとしている一人でもあります。
荒武さんがこれから開こうとしているのは、ゲストハウス。それだけでなく、そこから新たなチャレンジやビジネスが生まれるような仕組みをつくりたいと語ります。しかも、すでに駅前の物件を買って準備を進めているのだとか!
「ずっとチャレンジをし続けてきましたが、今回ばかりは不安がゼロというわけではありません。でも、絶対に三股町をより良くしたいという想いがあるんです。よく『仕事がない』と言われますが、やりたいこととマッチする仕事がなければ創り出していくしかない。また、町内には遊びに来ても泊まる場所がないと言われるので、それに対しても応えるべく、ゲストハウスを立ち上げることを決意しました。その背景には、自分が生まれ育った三股町がずっと在り続けてほしいし、そこに関わっていたいという気持ちがあるから。その想いは、私のアイデンティティの中にずっと存在し続けているものかもしれません」
荒武さんの言葉からは、郷土愛だけでは語りきれない、強い使命感のようなものも感じられるようでした。
最後に、これからの展望について伺ってみました。
「私は、三股町の強みは、誰もが活躍できる可能性のある、あたたかいコミュニティが存在することだと感じています。それって、手垢がついたような言葉ではあるけど、それを地域という面で実践しているところはなかなかないと思うんです。それをもっと外に打ち出していきたい。今後、コミュラボとの関わりも継続していけたらと思いますし、樺山地区以外にもいろんな場が増えていくお手伝いができたら良いなと考えています。」
と活動への意気込みを語ってくださいました。
また、「何より私自身も仲間が必要なんです。もし、うずうずしていたり、何かアイディアを形にしてみたい人がいたら、ぜひ一緒にやりましょう!」と、読者のみなさんにも熱いメッセージをいただきました。
荒武さんの挑戦はまだ始まったばかり。荒武さんが手がけるゲストハウスは、2025年秋頃に完成予定とのことです。これからも荒武さんの活動から目が離せません。
新しくできるゲストハウスの情報は、今後Instagramアカウントから発信していかれるようです。ぜひアカウントをフォローの上、最新情報をキャッチしてくださいね。
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荒武さん、心打たれるようなお話をありがとうございました!
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