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vol. 073

山も人も言葉もやさしい 春の大浪池ハイキング

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3月5日、地球人BASEのハイキングにコミュラボスタッフ黒木が参加してきました!
地球人BASEは、地域とそこに住む外国人が、ゆるやかにつながる接点をつくる活動をしている団体です。

今回は、宮崎県と鹿児島県の県境にある美しい湖を囲む大浪池(おおなみのいけ)という山をハイキングするというイベント。
参加者は、総勢16名。外国人の方は、ミャンマーとベトナム出身の方3名が参加されました。
さぁ、バスに乗り込み、三股駅を出発!

▲朝8時三股駅に集合

やさしい日本語が共通言語

バスの中では、自己紹介やお互いの国の質問タイムなどで交流を深めます。
こちらは地球人BASEスタッフの向江さん。


向江さんによると、1年半前の統計で三股町には155人の外国人が住んでいるとのこと。
「三股町には、日本の技術を学んでまた自分の国に帰る技能実習生や就職のために日本に来る外国人の方たちがたくさんいます。でも、よく見かけるけど、彼らと友達だという日本人は少ないのではないでしょうか。それは、きっとお互いに話すのが不安で、何を話していいかわからないと思ってしまう部分があるのかもしれません。その壁をなくして、お互いを知り、仲良くなるきっかけをつくるのが地球人BASEです」

そして、こちらが通訳ガイドの櫻田さん。

櫻田さんは中国出身。山にも毎月登っているとのことで、今回ガイドとして、私たちが安全に登山できるよう先導してくれました。
日本人の参加者は、回覧板を見て参加した方も多く、英語が話せないけど大丈夫かなと不安な方もいらっしゃいましたが、日本語だけを話すので安心です。

向江さんから「外国人全員が英語圏というわけではないので、みんなが英語を話せるわけではありません。そんなときは”やさしい日本語”を使って、小学校低学年くらいの子にわかるような日本語を使うといいですよ」と教えていただきました。

やさしい日本語とは、外国人等にもわかるように配慮して、簡単にした日本語のこと。1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、外国人が災害発生時に適切な行動をとれるように考え出されたのが「やさしい日本語」の始まりです。

例えば、この時期多くの日本人が悩まされている花粉症。外国人の方になんと説明しますか?
ミャンマーやベトナムにはなんと花粉症自体が存在しないのだそう。普段無意識に使っている言葉を、改めてわかりやすい日本語で説明することもなかなか難しいですよね。

それから、バスの中では、お互いの言葉を知ろうということで、ミャンマーやベトナムのクイズも出されました。
さて、この見たこともない不思議な文字。こちらはどういう意味だと思いますか?

これは、ミャンマー語で「ミンガラーバー」」と読み、「こんにちは」という意味だそうです。お互いの国の言葉を教え合えるのも国際交流の醍醐味ですね。

日本人でも知らない日本のことがたくさん

そうこうしていると、登山口に到着。
軽く準備体操をして櫻田さんを筆頭に1列で登っていきます。

道が舗装されており、初心者でも登りやすい山だと言いますが、山道を歩き続けるのは結構ハード。
ガイドの櫻田さんが後ろの人たちも気にかけ、休憩を何度かしながら、ゆっくり登っていきます。

▲道中も櫻田さんが山のことや日本のことを丁寧に教えてくれました。

こうして、歩くこと約1時間弱。息を切らせながらもあっという間に登頂!!
この日は天気も良く、神秘的な火口湖が綺麗に見えました!

山頂に着いたのは、お昼前。朝も早かったので、みんな好きな場所で自分で持ってきたおにぎりなどを広げます。
手作りのミャンマー料理やベトナム料理も少しお裾分けしてもらいました。

▲こちらはミャンマー料理のマンゴーの漬物。シャキシャキしてちょっと辛味のある味付けで、宮崎の甘いマンゴーとは大違い。

言葉だけでなく、昼食を通して食文化の違いを知ることができたのも、このイベントの楽しさの一つでした。
ひと休みしたら、滑らないように気をつけてゆっくりと山を下りていきます。誰1人として怪我することなく無事下山!

▲山を登り切って達成感あふれる一枚

そして、帰り道には霧島神社にも寄り道。
一円玉に描かれている木のことや鳥居がなぜ赤いのか、神社の参拝の方法まで、櫻田さんが丁寧にガイドしてくださいました。

▲「招霊木」が一円玉に書かれている木であることを説明してくれる櫻田さん

日本人の私たちも知らないことがたくさんがあり「へー!そうだったんだ!」と言いながら、みんなで一緒にいろんなことを学ぶ時間となりました。

帰りのバスでは、1人ずつ感想をシェア。
「登頂できるか不安だったけど楽しかった」
「みなさんと出会えてよかった」
「今度一緒にみんなとイベントに参加したい」
などみなさん仲良くなって、とても楽しい時間を過ごすことができたようです。

必要なのは言葉だけじゃない

「日本人の友だちがほしい」という外国人の声から生まれた地球人BASE。
参加者のみなさんの楽しそうな様子をみていると、「外国人の友だちがほしい」「役に立ちたい」と思っている日本人も外国人と同じようにたくさんいるのかもしれないなと改めて感じました。

言葉が違っても、こうして同じ時間を楽しむことができるのは、言葉が通じないからこそ、無意識にお互いの言いたいことを理解しよう、わかるように一生懸命伝えようとする。お互いの「伝えたい・理解したい」という想いがその場に生まれるからなのかもしれません。

向江さんによると、やさしい日本語では、はっきり最後まで短く話す、「サラサラ」「ドロドロ」のようなオノマトペを使わないなど、ちょっとしたポイントを押さえるといいとのことだったので、ぜひみなさんも日本語に慣れていない外国人と話すときには、意識してみてくださいね。

今回参加した外国人の方は3名でしたが、まだまだ三股町にもたくさんの外国人の方が住んでいます。
ベトナムから日本にに来てまだ半年の参加者の1人は、「こんなに日本人がいる場に来たのは初めて。最初は不安だった」と話してくれました。もしかしたら、地域の中には同じような気持ちの外国人ももしかしたらいるかもしれません。
向江さんは、地域に日本人と外国人が混ざり合わずに分かれて暮らすことには違和感を感じると言います。

「技能実習生として、集団で日本に来る外国人も多く、時代の流れとともに外国人のニーズが変わってきていることを感じています。日本人も外国人もコミュニケーションがお互いに不安なので、混ざり合うためにはきっかけが必要。でも、いっぺんにその不安がなくなるわけではない。活動に参加してくれる外国人一人ひとりとの密な関係性を大切にしながら、これからもこの活動を続けていきたいですね
外国人のみなさんと濃い関係性を築こうとする向江さんの姿に、そこにはしっかりとした信頼関係が成り立っていることを感じました。

さて、次はどんなイベントがあるのでしょうか?
国際交流に関心のある方は、回覧板の情報をチェックしてみてくださいね!

その他、地球人BASEの活動に興味がある、協力してみたいという方いたら、お気軽にFacebookInstagramから問い合わせも可能です。
また、外国語に対応したホームページもあります。もし周りに外国人の方がいたら地球人BASEをご紹介ください!

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