CDLマガジン
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vol. 192
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コミュラボ
ライター
「アンタ、そいも福祉やがね!アンタ、そいも…」
お茶の水女子大学国際交流留学生プラザの2階に上がる階段の途中から、とめどなく聞こえてくる収録された地域の人たちの声。福祉は潜む展の2日目は、トークセッションだ。
しかも、9:00〜17:30までぶっ通しのおよそ9時間近くに及ぶ耐久戦。福祉・教育・建築・デザインなど、多分野の専門家15名と共に紐解く、濃密な時間となった。

ただでさえぽかぽか陽気なのに、会場は2月とは思えないほどの熱気に包まれた。全てレポートしたいところだが、マガジンではどんなことが対話のテーマになったのか、ダイジェストでお伝えしようと思う。

もし全貌を知りたくなった方は、2月28日(土)までアーカイブ配信の申し込みを受け付けているので、こちらからチェック。
アーカイブ配信をご購入の方にも、今回制作した5周年マガジン「現場からは以上です。」が送付され、よりトークをお楽しみいただけるセットとなっている。ぜひ、この機会をお見逃しなく。

トークセッションは、コミュラボがこれまで実践してきた場づくりや出会い方、デザイン、政策など、6つテーマで行われた。冒頭から急にかすれ始めた所長・松崎の声。松崎の声帯が最後まで持つのか!?そして、6本全て出ずっぱりのデザイナー平野の身体が耐えられるのか!?
いよいよ、トークセッションの幕開けである。

まずコミュラボの5年間を振り返りながら議論が始まったこのセッション。コミュラボの転機は、みまたん宅食どうぞ便の実践だった。従来の“困っている人を支援する”という構図では届かなかった家庭に、デザインや言葉、動線を整えることで初めて届いた体験について語った。さらに、議論は「福祉と楽しさ」に及び、楽しさのレイヤーや距離感などについて語られた。

2つ目のセッションでは、ゲストの脇さんがオンラインでの参加となったが、コミュラボの居場所づくりの背景や実践から明らかになってきたことについて語った。コミュラボは、2023年度から受託した休眠預金事業をきっかけに、居場所を意識した実践が本格化。孤独・孤立という社会課題に向き合う中で、支援と交流機能を持った場や誰もが居心地がいいと感じる場について、地域の居場所アセスメント等から明らかになってきたことなどを共有。居場所について掘り下げ、改めて問い直すセッションとなった。


3つ目のトークテーマは「コミュラボの人のつなぎ方」。不登校というタグでは居場所には来づらい。でも、マリオカート大会には来たりする。本当に生活に困っている家庭は支援窓口には足を運びづらい。けれども、新鮮な食材や可愛らしいイラストには手が伸びる。コミュラボが実践してきたのは、支援を前面に出さず、「気になる」「面白そう」から始まる出会いのきっかけ。果たして、福祉とつながりは本当に相性がいいのか?そんな対話も繰り広げられた。
あっという間に13時を回った。通しで参加してくださったみなさんは、お昼ご飯を食べられたのだろうか。情報過多になっているかもしれない頭を少しクールダウンさせる、不意打ちのブレイクアウトタイム。コンテンポラリーダンサーのAYARTさんと、段ボールに隠れた自衛隊がコラボし、会場を和ませてくれた。


4つ目のトークの出発点は、「デザイン=見た目」ではないという再定義からだった。コミュニケーションなくして、成果物はできない。届けたい相手にどう関心を持ってもらうか、ネーミングをはじめとし、目に見えるかたちになる前の段階から設計することなどについて触れられた。また、ラベリングや固定的な考え方に対して、言葉一つで政策の伝わり方が変わるという気づきも共有され、「デザイン」について改めて捉え直す時間となった。


5つ目のセッションでは、「政策にどう応答し、どう提案するか」をめぐって、制度と現場の往復がリアルに議論された。地域で生まれた取り組みが国の事業へとつながった事例を通し、モデル事業から現場の取り組みが言語化・構造化されることで、やがて政策へと昇華していく可能性がある。一方で、評価や交付金の枠組みの中で揺らぐ現実も。参加者からは、モデル事業も枠組みを変える必要性や取組みについての質問が寄せられ、「政策」というものにどう向き合っていくのか、その可能性を探るような時間となった。


いよいよ、朝9時から続いたトークも最後。中には、6つすべてのセッションに参加してくださった方も多くいた。最終セッションでは、6年目を歩み始めたコミュラボが、これから地域の実践をどのように広げていくのかを切り口に、コミュラボのカルチャーや組織OS(組織を動かす価値観や仕組み)、さらには幸福やウェルビーイングといったテーマにまで議論が広がった。ゲストやファシリテーター、そして会場のみなさんも交えながら、それぞれの立場から率直な声が重なっていく。コミュラボのネクストステージは、どうなっていくのか。ぜひアーカイブでご覧ください。

松崎の声も平野の体力もなんとか持ち堪えることができたが、この時間を支えてくれた立役者がDJパブリンである。朝9時から18時近くまで、ずっと音楽を鳴らし続けてくれた。また、最後まで一緒にこの場を共有してくださった来場者のみなさんにも心から感謝の拍手を送りたい。

全てのトークセッションが終わった後は、お茶の水女子大学あったか食堂のみなさんのご協力のもと、来場者やゲストのみなさんとの大交流会を行った。あたたかい豚汁やおむすび、疲れが吹き飛ぶようなレモンの香りが引き立つお漬物など、お腹も心も満たされ、ほっとゆるむような時間が流れた。


(後記)
この「福祉は潜む展」の開催は、私たちコミュラボだけの力では到底成り立ちませんでした。そもそもこの5年間、地域で実践を続けてくることができたのも、自分たちのまちを自分たちで楽しもうとする地域のみなさんの存在があったからこそ。そして、地域外から関わってくださったみなさん、共催をしてくださったお茶の水女子大学のみなさん、この展示を一緒につくり上げてくださったすべての方々のお力があってのことです。この2日間を、こうして多くの人と分かち合うことができたことを、心から嬉しく思います。本当にありがとうございました。
こうして、この2日間を多くの人と分かち合うことができて、とても勇気づけられる思いがしています。完璧な正解があるわけではない福祉の現場において、みなさんと共に悩み、考えたこの時間は、私たちにとってかけがえのない財産となりました。
ただ、これも私たちにとっては次につながるひとつの通過点にすぎません。展示は終わりましたが、ここでの気づきをまた地域という現場へ持ち帰り、また次なる実戦へと繋げていきたいと思います。
これからもコミュニティデザインラボをよろしくお願いいたします!
【トークセッションアーカイブ配信視聴申込み】
お申込みは、こちらのGoogleフォームからご入力ください。
(備考)
・申込み締切り:2月28日(土)まで
・配信期間:2月24日~3月16日まで
・アーカイブ配信動画は、オリジナル資料集代(2,500円)とセットです。お支払いは、事前決済となっております。申し込み後、ご入力いただいたメールアドレス宛に送付する決済URLからの事前決済をもって申し込み完了といたします。
・配信動画には、資料集がせっとになっています。準備が出来次第、送付いたします。