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vol. 125

DIYを支える影の立役者。淡々と、かつ着実に

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2024年2月にDIYプレイヤーを募集した「今はまだナゾの服屋」。3月に行われた命名式では、ついに店名が発表され、「NAZO」という名前でみなさまにお披露目となりました。
現在もグランドオープンに向けて準備が進む中、このプロジェクトを語るのに欠かせない人物の一人が池之上 耕一(いけのうえ こういち)さんです。その他、三股町赤十字奉仕団や八地区青壮年総会、放課後支援推進員としても活躍されています。
今回は、一級建築士の資格を持ちながら、影の立役者としてこのDIYに協力してくださっている池之上さんにお話を伺いました。

15歳で上京。資格取得に励む日々

池之上さんは、鹿児島県福山町で生まれ、中学卒業後は定時制高校に通えるという条件で、校長先生の紹介で東京の理研工業に就職。働きながら定時制高校の建築科に通うことを選択しました。
しかし、就職してみると、当初約束されていた定時制高校に通うことが許されず「高校に行けないなら、会社も辞めます」と、就職から11ヶ月後、友人の紹介で建築金物屋に転職。その後、19歳で帰郷し、大工の見習いを3年勤め、自衛隊に入隊されました。

「私は、4人きょうだいの3番目で、定時制高校に行ったあと15歳のとき親父が他界したんです。もし普通の高校に行っていたら、家は経済的にも厳しかったと思います。はじめは、特に大工を目指していたわけではなく、今の道に進んだきっかけは東京の就職先が建設関係だったことでした。自衛隊に行ったのは、給料を得ながら資格取得ができたためです。そこで二級建築士を取得し、自衛隊入隊から4年後に今の都城の建設会社に就職しました。実は、今もまだそこに所属しているんですよ」

なんと、今も現役でもう40年近く、同じ会社に勤めている池之上さん。自分の子どもたちがそれぞれの道で頑張っている以上は、自分自身も頑張らんといかんという想いが、今も仕事を続けられている原動力になっているのだと語ります。

「30歳で結婚し、2人の息子の父親になったが、家庭を持ってからも一級建築士の資格を取るため、子育てに勉強にと必死だった。当時は、ワークライフバランスなんて言葉はなかったから、現場によっては夜中まで仕事なんてことはよくあったよね。あの頃は、子どもたちを21時まで思う存分に遊ばせて、子どもが寝た後に一級建築士資格取得の勉強をしていたね」

仕事も家庭も勉強も手を抜かず、努力を重ね、平成2年にようやく1級建築士の資格を取得した池之上さん。週末出かける時は、行き先を子どもに伝えて自分で調べてみるよう促したり、車の道中も子どもに語りかけ学びながらドライブをしたりと、親子間のコミュニケーションをとても大切にしていたことが、言葉の端々から感じられるようでした。

不安な時は努力が足りていない時

しかし、一筋縄ではいかなかったこともたくさんあったと池之上さんは話します。
「私がよく感じるのは、不安だと感じる時は努力が足りないってことなんだということ。不安っていうのは、努力すればなくなるはずだから。それはみんなに言うんですよ。 試験でもなんでも頭で覚えよう、覚えようとするからいかん。なぜここが違うのか、なぜここが悪いのかがわからんからいざという時に迷う。私も全ての試験を一発で通ったわけじゃないから。自分の経験からも本当にそう思うんですよね」

さまざまな試練を乗り越えて来た池之上さんだからこそこの言葉に、仕事をしながら学び続けてきた強さと、定時制高校の時の大変な時期を乗り越えた経験が、池之上さんの中にずっと生き続けているようです。

全てはタイミング。ナゾの服屋DIYとの出会い

そんなベテラン一級建築士の池之上さんが、どのようにしてナゾの服屋との接点を持ったのでしょうか。きっかけは、池之上さんが30代から所属している、八地区青壮年総会や三股町赤十字奉仕団の活動だったそうです。

「一番最初にそんな話があったのは、一昨年だったかな?それから、2023年の10月くらいにも話があって。ちゃんと決まったのはそのあと、赤十字奉仕団の炊き出し訓練の時だったはず。話を聞いた時は、1週間に1、2回ならいいかと思って引き受けたんだけど、今は毎日この現場に来てるね。ちょうど本業の現場の仕事が終わって、次の現場が始まるまでの合間だったからタイミングがよかったんですよ」

プロの現場とは異なる今はまだナゾの服屋の現場ですが、池之上さんは自身の道具も持参し、コミュラボスタッフのああしたい、こうしたいというスタッフの声に耳を傾け、論理的に的確に伝えてくれます。今や現場監督的存在としてみんなに慕われ、ナゾの服屋の完成を語るのには欠かせない重要人物です。

「みんなプロじゃないからね。これだけできれば十分だと思うよ。新築を建てる時もそうだけど、ここの人たちがこれでいいと思えばそれが一番。建築の仕事の面白さは、”無”から”有”を生み出すこと。自分が携わった建物が残るのはやはり誇らしい。この場所も、みんなにとって使い勝手が場所になればいいなっていうそれだけですね」

ナゾの服屋の完成まであとわずか。
池之上さんもこの現場が終われば、きっと次の本業の現場へと戻られるかと思います。しかし、この今はまだナゾの服屋を池之上さんと造り上げたことは、コミュラボの歴史にも一生残ることでしょう。池之上さん、これからもよろしくお願いいたします!

そして、最後にご案内となりますが、なんと来たる2024年4月27日(土)は、「NAZO」のグランドオープンセレモニーが開催されます。
古着販売、カイシュ―モンスターによる衣料品回収、オリジナルドリンク販売やノベルティ配布まで盛りだくさん!三股の新スポット「NAZO」にお集まりください。

【「NAZO」グランドオープンセレモニー】
日時:2024年4月27日(土) 13時~19時
会場:北諸県郡三股町五本松15-3
入場:無料
駐車場:当日は店舗駐車場使用できません。店舗から徒歩3分の三股町社会福祉協議会駐車場をご利用ください。
Instagram▶︎https://www.instagram.com/nazonofukuya/?hl=ja


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