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vol. 194

三股中国会開催 -総勢300人の議員と大人が本気の答弁 –

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2026.03.27

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体育館の中央に伸びる、鮮やかなレッドカーペット。
ここは国会議事堂…ではなく、三股中学校の体育館だ。
本物の内閣が特別国会の真っ最中にある2026年3月10日(火)、三股町でも独自の「国会」が開幕した。その名も「三股中国会」。

三股中国会とは?

卒業を間近に控えた三股中学校の3年生、9クラス約300人が議員となって参加するこの試みは、生徒たちが日常で感じるなんだか気になる疑問や、心に引っかかっていることを問いとして投げかけ、地域で懸命に生きる大人たちが大臣として本気で答弁する、独自の国会である。

各クラスはオリジナルの政党を名乗り、AIを駆使して制作したポスターを手にこの日に臨んだ。本国会には、次のようなグランドルールが制定されている。

【グランドルール】
・本気で考えて表現する
・正解はない
・ざわざわしてOK
・ポジティブなヤジはOK
・面白い時は笑ってOK

MCによるじゃんけん大会で場が温まったころ、秘書官の「大臣たちの入室を許可します」アナウンスが響き、大臣たちがいよいよ入場。

△大臣を読み上げるオトナ本気内閣官房長官

オトナ本気内閣官房長官の口から大臣の名前が一人ずつ読み上げられ、9名の大臣たちがレッドカーペットの上を颯爽と歩いてくる。議員たちの地響きのような拍手と歓声に、体育館は熱気に包まれていた。

△高市総理カラーを身につけて入場するオトナ本気内閣総理大臣

本日の会議に附した案件

この日の議題に並んだのは、事前に生徒たちが寄せてくれた多くの質問の中から、次の9つに絞られた。

一、なぜ歴史や古文など、将来使わないものを習うのか。
一、親友の定義とは何か。友だちとの違いに疑問を持った。
一、なぜ友だちや好きな人と喋ったあと、1人反省会をしてしまうのか。
一、なぜ中学校には遊具がないのか。
一、なぜ大人は子どもに完璧を教え込もうとするのか。
一、体育や昼休みの時間は早くすぎる。なぜ時間は早く感じたり遅く感じたりするのか。
一、なぜ清掃をするのか。業者や機械を使う方がきれいになるのではないか?
一、なぜ人間は面倒くさがるのか。
一、部活について。他の学校では部活動がなくなっていることを聞き、自分自身が成長できる機会がなくなることに疑問がある。

どれも、誰かが一度は心の中でつぶやいたことのあるであろう「本音」の問いである。

体育館に広がる国会の熱気

「これより三股中国会を開会いたします」
秘書官の声で議事が始まった。各党の持ち時間はわずか10分足らず。党首(代表者)が質疑し、大臣が答え、クラス全体で納得できるかを判断する。納得がいかなければ白帽を被って意思表示し、再質問へ。その熱いサイクルが9回繰り返された。

△(写真右から)まちづくり本気大臣、美術大臣、馬大臣、現象観察大臣、おもしろまちづくり大臣
△場の空気を柔らかくしてくれる美術大臣

生徒たちの問いは、どれも率直で本質的だ。答弁のたびに「そうだ!」「よく言った!」とヤジ専門官によるポジティブヤジが飛び、拍手や笑いが巻き起こる。

△ポジティブヤジ専門官
△積極的に答弁をするアメリカ大臣(中央)、翻訳でサポートするなんでも翻訳大臣(左)と哲学大臣(右)

大臣たちも300人を前に、答えのない問いに正直に悩み、言葉を選ぶ。「完璧じゃない大人」が、そのままで本気に向き合う姿が印象的だった。

△自らの思いを正直に答弁する馬大臣

特に、答弁が長引いたのは、「なぜ中学校には遊具がないのか」「なぜ大人は子どもに完璧を教え込もうとするのか」という質疑だ。

問いが読み上げられた瞬間、「あーーー」という共感が体育館中に広がる。
大臣たちは「遊具がないのは、自分たちで遊びを考えてほしいってことじゃないかな?」「私自身、我が子に完璧を期待してしまう。それは私自身が完璧じゃないからなのかもしれない」などと、自身の考えをありのままに語った。

△議員たちに語りかけるように話すまちづくり本気大臣

しかし、対する議員たちも引き下がらない。納得がいかなければ白帽をかぶり、「体力をつけるためにも遊具は必要では?」「『挑戦してほしい』と言うけれど、大人の声かけで挑戦できなくなることもある!」と鋭く切り込む。

「大臣、残り5秒でお答えください!」と秘書官にたたみかけられながら、短くも熱い質疑が続いていった。

「もやもや」は気づきのサインかも

「議論が白熱しているところですが、お時間となりましたので、これにて質疑を終了します」
秘書官の声で、2時間強に及んだ第一回三股中国会は幕を閉じた。

△会議を仕切る秘書官(中央)と議長DJ(左)

納得できた質疑もあれば、もやもやが残ったものもあっただろう。しかし、その「もやもや」こそが、三股中国会の醍醐味なのかもしれない。議員として参加した生徒たちに終了後にインタビューすることは叶わなかったが、閉会後、大臣である大人たちの間では「あの問い、本当になんでなんだろうね。どう思う?」と対話がずっと続いていた。

△議事堂を退場する大臣たち

閉会後、MCからあったように、疑問や違和感に蓋をせず、声に出してみること。 そして、それを周りの人と話し合ってみること。それは決して文句や対立することではない。

むしろ、立場の違う人たちの考えや経験を聞いてみることで、もしかしたら自分で考えるための小さな入り口の立つことができるかもしれない。この日交わされた言葉が、自分で改めて考えたり、誰かと話したりするきっかけになったらとても嬉しく思う。生徒たちだけでなく、大人もにとっても。

△この日集まった大臣らと官房長官、秘書官。ご協力いただきありがとうございました。

もうすぐそれぞれの道へ進んでいく中学3年生たち。 この日体育館で体験したことが、いつかどこかで新しい芽を出すことを願って、彼らの未来を心から応援している。

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