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vol. 054

んだもした~ん!なんごっけしげしVol.9

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蔵元 茂志

ライター

人と盲導犬

現在は3頭目の盲導犬と暮らしている茂志。だけど20年くらい前、初めて訓練に行った日のことを今でもほぼ鮮明に覚えてる。

その日、羽田空港に到着すると、訓練士さんが出迎えてくれて、協会のある練馬区に電車で向かった。
途中で昼食を食べようと辛麺屋に入ることに。でも茂志は自他ともに認める極度の人見知り。さらに人の5倍くらい食べるのが遅い…初対面の訓練士さんを前にガチガチだった。そして辛い&熱い!
がんばって早く食べなければ…そう思って焦ってるところに「遠慮しないでガンガン食ってくださいね」と訓練士さん。いや、そんなんじゃないですから……とその声に茂志さらに焦る!
その後、電車の中で訓練士さんがうとうと。乗り換えの駅を乗り過ごして引き返すはめになったり!!

前にも書いたけど、その頃の茂志は「盲導犬の訓練は自衛隊さん並みに厳しいらしい」と、かなりびびってた。でもこの訓練士さんは違う?もしかしたらすげ~優しくていい人なんじゃ?
そう思って油断しそうになったけど、最寄り駅で下車して徒歩でセンターに向かってた時、突如鬼の本性が現れた!
「押さないで…」
出た!!
どうやら茂志は、手引きのために持たせてもらってた訓練士さんのひじを無意識のうちにほんの少し押してしまってたらしい。
え?そんだけ?でもそれがだめな理由が後になって分かった。
手引きをしてくれている訓練士さんのひじを持つこと=盲導犬のハーネスを持つこと。今訓練士さんのひじを押しているということは、この先茂志を誘導してくれる盲導犬のハーネスを押してしまうことになる。そのことを指摘されたのだった。
協会に到着すると今度は、視覚障がい者の命綱ともいえるかも知れない白状を使うことを禁止された。そして訓練士さんに後ろから「進んで」「止まって」「右に90度向いて」などと言葉で巧みに操られる。指示に従わないと途端に物に当たったり壁にぶつかる。
階段の上り下りも同じ。協会の階段には今時どこにでもありそうな点字ブロックなんてものはない。もしそこで訓練士さんの指示に背くと…多分そのまま階段を転がり落ちる。
その時は全く意味が分からなかったけど、これはそれまでの白状歩行の癖を捨てて、盲導犬と歩けるようになるための大事な一歩。。そんな不気味な感じで4週間の共同訓練が始まった。

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