CDLマガジン
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vol. 156
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コミュラボ
ライター
今日は、私が好きな三股の風景の一つを紹介したい。
ここは、コメーキングスペースコメの向かい。毎週水曜日15時から「謎の市」が開かれている。元々、樺山購買部の店先で開催していたが、気づけば2024年9月頃から静かにこちらに移転したものだ。
「さみもさみど〜(とても寒い)」
コテコテの三股弁を喋りながら、毎週水曜日この地区のサロンが終わると、おばちゃんたちがこの場所へと集まってくる。
品物は、コミュラボが空き家をDIYする際、その空き家で見つけた行き場を失ったモノたち。そんな「謎」なモノが売られているのが謎の市なのだ。
値段は、このお宅に住む原田さんが全て目利きしている。原田さんは、かつて旦那さんと「原田商店」を営んでいた生粋の商売人。その商店はすでに閉店してしまったが、現在はその空き店舗となった場所をコメーキングスペースコメとして活用させていただいている。
謎の市でみなさんと話をしていると、コーヒーやら紅茶やらパンやらが家の中からどんどん出てくる。コーヒーを飲み終わる前に、寒いから紅茶も入れなさいと、サービス精神旺盛の原田さん。
外で井戸端会議をしていると、道路を走る車の運転手が横目でちらりとこちらを見たり、小学生がニヤニヤしながら「こんにちは〜」と挨拶をして通り過ぎていく。彼らには、この光景の全てが謎めいて見えているのかもしれない。
おばちゃんたちは「ほら見てん!よか車じゃ〜」と車ウォッチングをし、冗談を言ったりしているが、それ以外はコテコテかつ早口の三股弁でほとんど聞き取れない(笑)それもまた「謎」である。
しばらくすると、樺山購買部の謎の市によく遊びに行っていたという若い女性が「ここでやってたんですね!」と、車を停めて立ち寄ってくれた。
この日の人気商品は、帽子。「私は帽子は被ったことがない」とか、「この色が好きだとか」言いながら、プチファッションショーが始まった。
コミュラボ調べでは、移転後、売り上げがなんと約10倍に跳ね上がったと言う。さすがベテラン商人、原田さん。売るコツを聞いてみると、目をキリッとし「まぁ、社長やからねっ」とキラーンとさせる様子がなんともチャーミングだ。
陽が落ちてきて寒さが増してきた頃、「さ、そろそろ片付けようかね」と原田さん。ゆるっと始まって、ゆるっと終わる謎の市。
冬場は暗くなるのが早いので、「謎」なモノに興味がある方は、お早めにお越しください。
(あとがき)
家の軒先に毎日のぼり旗は立っているし、毎日のように井戸端会議が行われていますが、謎の市が開かれるのは毎週水曜日15時〜なのでご注意を。でも、普段の井戸端会議に混ざってみるのも面白いかもしれません。