CDLマガジン
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vol. 107
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すぎたまさし
ライター
最近、「おもしろがり力」という言葉が気に入ってよく使っている。 みんなあまり聞き慣れない言葉かもしれない。
僕も、この言葉を使っている人を見たことがない。
ネットで検索すると何件かヒットはするが、言葉として確立しているものでもないようだ。 ふわっとしているこの「おもしろがり力」という言葉だが、意味を深掘りしたり、事例を上げていき、なんとかこの言葉を立体的にできないかと考えている。
そもそも、人生は辛いことや哀しいことの連続である。面白いことはほんの少しだ。人生で面白いことを待っていてもなかなか来てくれないのである。
あっちから来てくれないのであれば、自分から探したり作ったりして無理やりおもしろがるしかない。
「おもしろがり力」の例として僕が影響を受けた映画の話を簡単にしてみよう。
2007年のフランスの映画で「潜水服は妹の夢を見る」という映画がある。
実話を基にした映画 で、ELLE誌の編集長をしていた主人公が、ある日、脳出血で左まぶたしか動かせなくなる。
言葉を話すことができない彼は言語聴覚士の協力で、まぶたの動きでコミュニケーションを行うようになり、最後は左目のまばたきで、本を書き上げてしまう。
この男性の置かれた状況は決して面白い状況ではない。だが、自分が唯一行える「まばたく」という行為でその状況をおもしろがることを選んだのだと思う。
面白いことはなくても、おもしろがることはできる。人間はおもしろがる葦(あし)である。
「おもしろがり力」を身につけることで少しだけ人生が豊かになるかもしれないし、ちょっとだけ、生きてることも悪くないなと思えるかもしれない。
いろいろな角度から「おもしろがり力」を考えていき、様々な面白がり方が発見できればと思っている。