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vol. 062

人生は希望。昭和の時代に令和を先取りしたキャリアウーマン

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「今日は冷えますねぇ」
樺山購買部に入ると、声をかけてくれたのは、ベレー帽がトレードマークの津崎公子さん。
この購買部の店長を務めています。
コミュラボマガジンでも時々登場していますが、公子さんなしではこの購買部は語れません。
公子さんは、今の時代の働き方を昭和の時代に先取りしたようなキャリアウーマン!
今日は、そんな公子さんを少しご紹介したいと思います。

誰のものでもない人生だから自分の足で歩きたい

公子さんは、元々は福岡県博多出身。76歳になられた今も現役で働いておられます。若い頃はずっと記者の仕事をしていたとのこと。

「博多で生まれて、23歳の時に初めて本をつくることに携わりました。その時にある人から、あなたは書く人だと言われたことをきっかけに、26歳で記者として東京の会社に就職。会社を辞めても仕事ができるようスキルを身につけるため、働きながら編集者養成学校に通い、編集やデザインなどを学びました。」

公子さんが就職し、働き盛りの頃は1970年〜80年代。ちょうど高度経済成長期からバブル経済にある時です。戦後から女性の社会進出が少しずつ進んでいたものの、その頃の日本は、まだ「男は仕事、女は家庭」という性別役割分担が強かった時代。
公子さんは、その時代をどう感じていたのでしょうか?

「1970年代以降、本当に一生懸命生きてきました。私の家庭は、叔父が薬剤師で、子どもの頃から女性は経済的自立をしなきゃだめだと言われていたんです。だから、子どもの頃から“女性がどう生きるか” ということは常に考えていましたね。」

「今の若い人もそうかもしれないけど、結婚が人生のゴールになっている女性が当時も多かった。でも、私は自分の足で歩きたかった。そのためにスキルを身に付けなきゃと思っていました。独身でも結婚しても子どもを持ってもいい。大事なのは、女性として自分がどう生きたいかだと思うんです。やっぱり自分らしく生きたいという思いがありますよね。」

そんな時代背景の中で、結婚出産を経て、38歳でフリーランスの記者へと転身。
今の時代でこそ、フリーランスという会社に属さない働き方がトレンドになってきましたが、その当時、公子さんのような考え方をや働き方をしていた女性はそう多くはなかったのではないでしょうか?

「実はフリーになる前、会社から『あなたは家庭を持って、仕事を持って、子供を持って贅沢だ。子供が生まれたら辞めなさい』と言われ、泣く泣く依願退職となった。そこからフリーとして働くことになりました。とっても辛い思いをしましたが、その経験があって、会社を離れたからこそ新しい学びができ、自分を磨くことができたと思います。」

育児に仕事にがむしゃらだったという公子さんの30代。その当時の公子さんの気持ちを考えると、本当にその出来事は本当に悔しかったはずです。しかし、その経験を自分の力に変え、キャリアアップにつなげ活躍して来られたことに、“自分の足で歩きたい” という公子さんの意志の強さを感じます。

自分らしく生きることを探求し続ける

フリーランスの記者として働き続けた公子さんは、65歳で仕事を辞め、旦那様のご両親がいた、ここ三股町へ夫婦で帰ってくることになりました。その後、介護施設で働きながら、なんと産業カウンセラーやキャリアコンサルタント、介護福祉士の資格を取得。
公子さんの探究心はどこからくるのだろうかと思わずにはいられません。

「記者の仕事とは全く違うけど、もともと本を読んで研究したり、ものを調べたりするのは好きでした。ただ、記者だったのはもう過去のこと。だから、一から勉強するつもりでいました。65歳でやり尽くしたと思ったけど、心理学を勉強し始めたら面白くて。まだ勉強してないことがいっぱいあったんですね。」

また、人のキャリアや生き方をサポートするような資格をとったのは、公子さんご自身が「自分の人生をどう生きるか」ということに真剣に向き合ってきたからこそ、誰かのバックアップをしたいという想いがあったとも教えてくださいました。

そして、コミュラボと出会って以降は、私たちの活動に共感し、コメーキングスペース コメのスタッフを経て、2022年10月にできた樺山購買部の店長を引き受けてくださっています。

樺山購買部での仕事についてはこう語ってくださいました。

「高齢者の方の買い物支援で始まった場所ですが、それだけでなく、子どもたちが宿題をしたり、お隣りで駄菓子を買ってちょっと話したり、いろんな子どもたちの待合場所にもなっています。ここに来ると、みんな普段と違う面を見せてくれたりするのでとても面白いですよ。中学生がボランティアに来てくれるんですが、この子たちがこれからどういうことを学んでいくんだろうと思うと、とても楽しみに思います。」

すでに常連さんもでき、イベントが開催されるなど、地域の人たちに愛される場所となっている樺山購買部。そこに居合わせた地域の方も「地域のおばあちゃんたちにとってみれば、近くに買い物ができる場所ができてよかった」と話してくださいました。商品を買っても買わなくても、ちょっと話しに行きたいなと思わせてくれるのは、自然体でいられるような公子さんの安心感があるからこそなのかもしれません。

最後に、これからの人生について伺ってみました。

「私の人生を一言で表すなら『希望』ですかね。希望を持って生きていくこと。これから仕事を続けていくのか、勉強の方になるか先のことはわからないけど、お金と時間があればまた心理学を勉強したいという思いはありますね。」

どんな話がきけるだろうとワクワクしながら取材に伺った私(黒木)ですが、この日感じたのは、人生には「こうなったらゴール」というものはないということ。楽しいこと悔しいこといろんなことがあるからこそ、「自分はどう生きたいのか」と立ち止まりながら、生涯かけて探求し続ける姿勢を教えていただいた気がします。

自分の生き方を貫き、探究心を持ち続ける公子さんは、本当にかっこいい女性でした!
公子さんと話してみたいと思った方は、ぜひ樺山購買部まで!

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