CDLマガジン
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vol. 198
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コミュラボ
ライター
三股町蓼池にある「まごころクリーニング」の敷地内に、小さなだがし屋がオープンして約3ヶ月が経ちました。だがし屋さんの名前は「だがし屋まごころ商店」。夕方になると近所の子どもたちが集まり、お菓子を楽しんだり遊んだりと、元気な声がひっきりなしに飛び交います。

まごころ商店を始めたのは、まごころクリーニングを営む諏訪 幸二さん・有美子さんご夫妻。「最初は不安だったんですよ」そう話す有美子さんの表情は、どこか嬉しそう。今回は、そんなお二人にまごころ商店をスタートしてからの心境を伺いました。

山之口町出身の幸二さんがクリーニングの仕事に就いたのは、20歳のとき。たまたま就職した会社だったと言いますが、それからずっとこの道一筋で腕を磨き続けてこられました。会社員として長く経験を積みながらも、心のどこかには「いつか自分でやりたい」という思いがずっとあったと語ります。
幸二さん「気づけばずっとクリーニングの仕事をしていますね。厳しい職場でもあったので、悔しい思いをすることもありました。でも、その時の経験が今の自分のパワーになっているんです。もともと性格的には、誰かの下で働くより、自分が責任を持ってやりたいタイプで。10年くらい前から、いつか独立しようとずっと考えていました」

そして、約9年前に幸二さんと有美子さんは出会い、結婚。幸二さんが会社員を辞め、独立して商売を始めたのは今から約3年前のことなのだとか。
有美子さん「本当にいろんなことが重なったタイミングだったんです。本当は、自宅を建てたこの場所に工場も併設したかったんですが、資金面で断念。でも、たくさんの方々の力を借りて、今は都城市に本店、自宅敷地内に三股店を構えることができました」

コロナ禍を経て、クリーニング業界全体が衰退していると言われる逆風の中での独立。周囲からは「なぜこのご時世に出したの?」と心配されることもあったようです。しかし、幸二さんの答えは明快でした。
幸二さん「この地域で自分の腕一本でやっていくという覚悟と自信があったんです。クリーニング店や担い手が減っているからこそ、逆にチャンスだと思いました」
そんな二人が、自宅の庭にあるクリーニングの受付スペースを使って、だがし屋さんをやろうと動き出したのは、つい数ヶ月前のことでした。幸二さんは、自宅を建てた時から、何かこの場所でできたらいいなという思いを抱いていたそうです。

幸二さん「家を建ててから、ここで地域のために何かできないか、何年もずっと考えてたんですよね。でも、どうやって始めたらいいかも、誰に相談したらいいかもわからなくて。そしたら、知人のご縁でコミュラボにつながったんです。私たちには子どもが3人いるのですが、近所にも子どもたちがいるのに、近くにだがし屋さんがない。それなら、学校帰りにふらっと立ち寄ってお菓子を買える場所を自分たちでつくったらどうかなと考えていました」
そして2026年3月、ついにだがし屋をやろう!ということになり、話はトントン拍子で進んでいきました。クリーニング店の受付をしながら、まごころ商店の店主をすることになった有美子さんは、最初は不安でいっぱいだったと話します。

有美子さん「売り上げは大丈夫だろうか、赤字にならないだろうかと本当は心配もあって。でも、いざ4月にオープンしてみると、その不安は一気に吹き飛びました。近所の子たちに宣伝したら、子どもたちが学校の友だちにどんどん伝えてくれて。今、めちゃめちゃ楽しいです。やって本当によかったなと思っています」
そう声を弾ませる有美子さん。まごころ商店のだが子には、あえて「48円」や「16円」といった、細かい端数の値札シールが貼られています。ここには、有美子さんのある意図が込められていました。

有美子さん「スーパーやコンビニだと、カゴに入れてレジに通すだけですよね。でもここでは、子どもたちが100円のお小遣いの中で『48円足す53円だから……あ、1円足りない!』って、一生懸命頭で計算するんです。いくつか手に取って、『これ全部で何円?』って聞かれて、計算してあげると『合ってた!』って喜んだり。その姿を見るのが本当に楽しいんです」
だがし屋を始めたのと同時期、諏訪さん夫婦の周りには、想像もしなかったつながりが広がり始めたます。
だがし屋としての最初のイベントは、2026年3月8日に開催した「こども縁日」。想像を超える人が来場し、本当に驚いたと二人は話します。そして、その後、幸二さんは、約200世帯を抱える地区の副館長を引き受けることになりました。地域のつながりについて、二人は次のように話します。
幸二さん「いろんなタイミングが重なったけど、それもだがし屋を始めたからかな。子どもだけじゃなく、地域で暮らしていると、どこに行って話せばいいかわからないことも多いと思うんです。そんな時に、この場所に来て地域の人の声をきいてあげられるといいのかなと思っています」
有美子さん「だがし屋をしなかったら、こんなにいろんな人とつながることはなかったと思います。社会福祉協議会のみなさんと出会えたり、こうして取材を受けることだって想像もしていなかった。3月のマルシェで、あんなにたくさんの人が来てくださったことが、私の自信になったんです。本当に人のつながりってすごいんだなぁって、今ひしひしと感じています」
とても明るくお話ししてくださる有美子さんですが、以前は人と話すことがとても苦手だったのだとか。
有美子さん「実は私、もともと人と話すのがすごく苦手だったんです。でも、クリーニングの受付やだがし屋さんを始めて、お客さまと一対一で話すようになってから世界が変わりました」

受付で一人ひとりと向き合い、会話を重ねるうちに、いろいろな人の価値観に触れ、接客の楽しさを感じているという有美子さん。その変化は、有美子さん自身にとっても新しい扉が開いたような感覚だったのかもしれません。
最後に、これから地域で何か始めてみたい方へ向けてメッセージをいただきました。

有美子さん「何かを始める前って本当に不安ですよね。でも、とりあえずやってみるしかないんだなって今は思います。私の場合は、夫が引っ張ってくれたのもありますが、不安でもやりながら、考えながらやり繰りしていけばいい。やらないことには、何もわからないですから」
幸二さん「私も、ずっといつか地域で何かしたいと考えながらも、どうやったらできるのか最初は分かりませんでした。でも、独立もだがし屋さんも人に相談したり、タイミングが重なったり、思い切って一歩を踏み出したからこそ今があります。人とのつながりやめぐり合わせって本当に不思議で。動いてみることでまた新たな出会いに広がるんだなと実感しています」

子どもも大人も気軽に立ち寄れて、ちょっと話して帰れる場所になったら嬉しいと、これからの展望について語るお二人。諏訪さん家族の「まごころ」がつまったこの場所は、これからもきっと地域の新しい出会いや笑顔をゆっくりと育んでいくことでしょう。
だがしだけでなく、有美子さん手づくりのかわいいアクセサリーも販売されているので、ぜひお店へ遊びに行ってみてくださいね!
<だがし屋まごころ商店>
営業日:平日16:30〜19:00/土曜14:00〜17:00
定休日:日曜・祝日
住所:三股町蓼池5567-1
※最新情報は、Instagramよりチェック