CDLマガジン
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vol. 175
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コミュラボ
ライター
5月16日(金)の午後、平日にもかかわらず三股町・光明寺からは、スパイスのいい香りが。この日は、インドから僧侶を迎え、いろんな香りが交わるスパイス効いた「カレーフェス」が行われました。
今回のゲストである僧侶・竜亀(りゅうき)さんは、現在、日本とインドを行き来しながら、インドのナグプールにある「インドラ ブッダ ビハール」を拠点に、カースト制度による身分差別や貧困に苦しむ人々への支援活動を行っておられます。
三股町でインドの僧侶と出会えるなんて、とても貴重な機会。そんなきっかけを作ってくれたのがこちらの中村さんです。
なんと中村さんは、2021年にSNSで竜亀さんとつながり、現在まで親交が続いているとのこと。「『インドのリアル』を語る僧侶・竜亀氏の講話会」を翌日に控えた竜亀さんは、時間の許す限り、私たちと共に時間を過ごしてしてくださいました。
カレーフェスは、ちょうどお昼時だったので、カレーを食べたい人はスパイスカレーを購入し、竜亀さんのお話に耳を傾けます。
竜亀さんは、みんながカレーを食べる雰囲気の中で話すのは初体験だとおっしゃりながらも、終始穏やかな口調で、自身が僧侶になるまでの経緯等をお話ししてくださいました。
広島市で生まれたという竜亀さんは、美術大学を卒業後、アーティストとして活動。不定期に個展を開催し、さまざまな人や出来事と出会う中、瀬戸内海に浮かぶ厳島(宮島)に移住し、2016年3月に現地でおにぎり屋さんを始めたのだとか。その時、竜亀さんは38歳。その後、7月に友人の紹介でインドに行かないかと誘われ、初めて渡印。それから、インドの仏教最高指導者である佐々井秀嶺さんの身の回りの世話をする中、佐々井さんの活動と生き方に感銘を受け出家し、弟子入りされたのだと言います。
竜亀さん「私は、39歳まで自分の好きなこと、自分が表現したいことをずっと追求してきました。そんな中で、ご縁をいただいてインドに行くことになり、佐々井上人と出会うことになりました。彼は、年齢を重ね、体調が思わしくない中でも365日24時間、他者のために自身の生命を使っていたんです。そんな姿を間近で見て、このような年の取り方をしたいなと思うようになりました。そうして9年間、このような活動をさせていただいています」と語ります。
その他、竜亀さんにはインドのカースト制のお話にも触れていただき、三股町にいながらインドや仏教をいつもより身近に感じられる時間となりました。
講話の後は、コンテンポラリーダンスや歌のパフォーマンスが披露され、会場は先ほどまでとはまた違う表現のエネルギーが本堂を彩りました。
イベントの中盤では、竜亀さんと一緒に樺山をゆっくり歩く「樺山一周行」も行われました。これは仏教で広まっている「歩く瞑想」の一つなのだそうです。竜亀さんから伝えられた約束は、喋らないことと、どんなことでもいいから感じること。参加者は1列になり、静かに五感を研ぎ澄ませ、自身の感覚や見慣れた景色に意識を向けます。
樺山を30分ほどかけて歩き、光明寺に戻ってきたら、竜亀さんと共にそれぞれ気づいたことや感じたことを輪になって共有しました。
「いつも歩いている道だけど、今日は特に風の心地よさを感じ、自然を感じられたのが良かったです」
「サウナでととのったような感覚に近いかもしれない。“今”をちゃんと感じられるからでしょうかね。すごくいい時間だった」
それぞれの気づきが述べられ、自分の感覚に意識を向けることでさまざまな発見があったようです。一周行が終わった後は、参加者はゆったりと穏やかな表情で、不思議な一体感に包まれていました。
さて、「カレーフェス」という入り口から、インドの現状や竜亀さんの生き方にほんの少しだけ触れることができた今回のイベント。このひとときが、参加されたみなさんにとって、新しい何かとつながるきっかけになりますように。竜亀さん、穏やかで気づきのある時間を一緒に過ごしていただき、ありがとうございました!
ところで、この日販売された手作りのスパイスカレーは、りんりん食堂のボランティアのみなさんが朝8時半から作ってくれたものです。
なんと鶏ガラで出汁をとり、ギーという純度の高い油脂を使って、スパイスカレーを作ってくださいました。ヨーグルトの程よい甘さとスパイスが香る、とても美味しい一皿でした。準備や仕込みもきっと大変だったと思いますが、心のこもった一皿を、ありがとうございました。
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