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vol. 191

福祉は潜む展 – DAY1 -|展示&体感編

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ここがお茶の水女子大学かぁ……
少し冷たい風と、春のような日差し。2026年2月14日、私たちはちょっとドキドキしながら、東京都文京区にあるお茶の水女子大学にいた。

そう、ついに「福祉は潜む展」の初日が幕を開けたのだ。コミュラボが5年間の実践で積み重ねてきた試行錯誤を、展示と体感、トークでまるごと伝える2日間のはじまり。この2日間、あまりにもてんこ盛りすぎるので、1日目と2日目に分けてレポートする。

なぜ、福祉は潜む展?

そもそも、なぜこの展示会を開催したのか。そこにはいくつかの背景がある。まずは私たちが「コミュニティデザインラボ」として活動をスタートして、2025年で丸5年が経ったこと。そして、「2025年までに200の活動と2025人の地域活動者を創出する」というミッションを達成したこと。それから、その歩みの中で、 私たちは「福祉」をあえて日常の中に「潜ませて」きたけれど、実は何気ない日々の営みの中に、すでに福祉は潜んでいるのではないか?と気づいたこと。暮らしと福祉が地続きになれば、地域はもっと面白くなる。 そんな確信があった。

6年目を歩み始めた今、その確信めいたことを三股町の中だけで終わらせず、志を同じくする人たちと共有してみたい。そんな想いが、お茶の水女子大学「ライフ×アート展」との共催というかたちで結実したのである。

5年間を可視化する、ヒト・モノ・コト展示

福祉は潜む展初日のオープンは、午前10時半。直前まで準備に追われていたが、なんとか間に合った。オープンと共に少しずつ来場者のみなさんが集まってくる。

展示スペースには、5年間で制作してきた冊子やグラフィック、活動の過程で生まれたモノ、数々のプロジェクト(コト)、そして地域で活動するプレイヤー(ヒト)たちが、秘蔵エピソードや解説を添えながら並ぶ。特に、ヒトに関しては、ヒトパネルだけでなく、三股町からは約20名のプレイヤーが駆けつけてくれ、生身の人間がそこに立ち、来場者のみなさんと実際に交流してくれた。

うまくいったことも、迷ったことも、途中にあることも、すべてさらけ出した今回の展示。こだわったのは、試行錯誤のプロセスや、砂のようにザラっとした現場の質感をそのまま伝えることだった。ギリギリまでメンバー総力戦で準備を重ねてきた展示物を、一つひとつ足を止めて読み込んでくださる来場者の姿に、胸がじんわり熱くなったのは、ここだけの話。来場してくださった方は、何が印象に残ったのだろうか。

三股の空気もそのまま上京、体感プログラム

この日の目玉は、オープニングセレモニーを含むコミュラボワールド全開の体感プログラムだ。
午前11時からのオープニングを飾ったのは、コンテンポラリーダンサー・AYARTさんの開会の舞。DJが奏でる「愛を込めて花束を」の曲に合わせ、セレモニー会場の枠を軽やかに超えていく。誰もいない展示会場へと駆け出したり、戻ってきて観客と踊りでコミュニケーションを取りながら、一気に場の空気を三股色に染めていく姿は、いつもに増して神がかっていた。

そして12時30分、「自衛隊を探せ 隠れ方講座」がスタート。続々と人が集まってくる。集まってきた人たちは、おそらく何をするのかわかっていなかっただろう。「自衛隊を探せ!」は、よる学校で大人気のイベントだが、「隠れ方講座」は、わりとレア。
隙間に身を隠す訓練、敵(鬼)が振り向いた瞬間に気づかれないよう姿勢を低くする訓練。大の大人たちが、ドラクエのBGMに合わせて真剣な表情で取り組む姿は、なかなかにシュールで愛おしかった。参加者のみなさんには、このまま自主練を続けて、次はぜひ、三股町で本気の“隠れる側”を体験していただきたい。

それから、約1時間後。なんと!三股の超人マーボーが自ら聖火ランナーとして、羽田空港からお茶の水女子大学まで本当に走って聖火を届けてくれた!しかも1泊分の荷物を背負って。すごすぎる…

さらに、15時には「お節介百人一首会議」、16時30分には「DJ椅子取りゲーム」と続く。
お節介百人一首会議では、三股町から駆けつけた地域プレイヤー・荒武さんが、羽田空港から到着するや否や場を仕切る。それまでワイワイしていた空気が一変し、真剣な空気感へ。わくわくやもやもやを、どうすれば誰かの役割や出番に変えられるか、全員で模索する、濃密な思考の時間が流れた。

最後のDJ椅子取りゲームも人気コンテンツである。ソーシャルインパクトビジュアライザーのMCで会場が盛り上がる中、DJパブリンの絶妙なフェイントに翻弄され、次々と脱落者が。最後の2人になったときには、2人で1つの椅子に座るというピースフルな光景も。そして見事1位に輝いた来場者には、ビジュアライザーから“特別なメガネ”が贈られた(笑)。

「楽しむ」ことで、境界線が溶けていく

どれも一見すると突飛なプログラムだったかもしれない。しかし、身体を動かし、ともにその場を分かち合い、音楽に身を委ねる。それこそが、三股町で日常的に巻き起こっている「空気感」そのもの。印象的だったのは、朝から夕方まで会場に居続けた参加者の姿である。展示を楽しみ、外で休憩して、プログラムで汗を流し、また展示へと戻る。そんな循環が自然に生まれていた。

来場者からは、「三股のことを知らなくても、十分に楽しめました」という声もあった。「楽しい」や「面白い」という感覚は、誰もが共通して持っている純粋なセンサーなのかもしれない。地域の文脈や予備知識を超えて、直感的に「何か」を受け取ってもらえている様子を目の当たりにして、ありがたく嬉しい気持ちだった。

心地よい緊張感の中で終えた初日。1日目にご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。
しかし、まだ展示や体感プログラムだけでは伝えきれていないこともある。2日目は、この「体感」を「言葉」で紐解く時間だ。福祉、教育、建築、デザインなど多分野の専門家15名と共に、約9時間にわたって「場づくり」や「デザイン」の本質を掘り下げた。

△あっという間に日が暮れ、閉会の時間。

——後半へ続く。

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