CDLマガジン
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vol. 084
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コミュラボ
ライター
三股町地域包括支援センターと地域の人で発行しているマガジンの一つ、「pituri(ぽつり)」の第2号が発行されました。
2021年に第1号を発行後、反響が大きく「2号はまだ?」という声がたくさん寄せられたpoturi。ようやく、今年4月に第2号の発行に至りました。
厚生労働省の資料によると、65歳以上で認知症にかかる方は、2025年には約5人に1人の割合になると予想されている時代。
「poturi」は、認知症を抱える当事者やその方を介護した人のつぶやきをまとめたものです。
コロナ禍で、介護の現場で働く人もなかなか訪問に行けない中、認知症の方やそのご家族のために何かできないだろうかということで、リアルな声をまとめようと制作が始まりました。
「認知症」と一言で言っても、その病気の種類や症状は人それぞれ。
poturi第2号の前半は、第1号と同様、認知症になった当事者やその家族の声、施設職員の声が、飾らない言葉でありのままに書かれています。
そして、第2号の目玉は、見取りエピソードを10ページにわたりお届けする新コーナー「ミトレタトキ」。
実際に認知症の旦那さんを自宅でお看取りまでされたご家族と、そこに関わった医療福祉分野のスタッフとの座談会の様子を会話形式でお届けしています。
poturi第2号の制作を担当した三股町社協職員は、「認知症って症状の表れ方が人により様々なので、相談がしにくかったり、情報交換が難しかったりしますよね。でも、うちだけじゃない、こういうこともあるんだって共感してもらうだけでもいいかなと思います。今回、ミトレタトキのコーナーも新たに加わり、いろんなサービスがあったり、家族だけで抱え込まずに助けを求めていいんだよということが伝わったら嬉しい」と話します。
このpoturiの制作にあたっては、さまざまな声を集めるため、認知症の方やそのご家族を一番近くでサポートする、三股町内の施設の皆さんにもご協力いただいています。
今回は、第1号の制作にご協力いただいた「介護老人福祉施設はまゆう」の介護長・原口 直人さん、ケアマネジメント主任・山本 明義さんにもお話を伺いました。
「介護老人福祉施設はまゆう」は、介護が必要になった人が日常生活に必要な能力を維持・向上するための訓練をする施設です。
原口さんと山元さんは、認知症キャラバン・メイトや認知症介護実践リーダーとして、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりを目指し、認知症サポーター養成講座を開催するなど、地域でも活動されています。
お二人によると、認知症の理解はまだまだ浸透していない部分もあるものの、一昔前に比べると「認知症」という言葉とともに広がりを見せていると言います。
山元さん「この施設に入所している人の中にも、認知症の方は多くいらっしゃいます。認知症の症状や行動への現れ方は一人一人違うので、認知症を勉強している私たちでも日々試行錯誤している状態。私たちでさえ、困ったら専門の先生に相談するんです。でも、それでもうまくいかないこともある。だから、当事者の方やご家族が悩むのは当然のことですよね。私たちは、poturi第1号で事例提供をさせていただきましたが、今までこのようなリアルな声が聞けるマガジンはなかったので、色んな人に手に取ってもらいたいですね」
原口さん「認知症の理解のため、私たち職員も認知症実践者研などを受けています。小学校や中学校をはじめ、地域でも認知症サポーター養成講座を実施するのですが、みなさん興味をもってしっかり聴いてくれている様子が印象的です。認知症サポーター養成講座でもpoturiを紹介して、より認知症のリアルな部分を感じてもらったり、今実際に介護をしている立場の人たちにも読んでもらって、自分たちだけじゃないと安心してもらえたらといいなと思いますね」
poturiを読んでいただくとわかりますが、この冊子には、何か具体的な対処法が書かれている訳ではありません。読む人の状況や立場によって、ほっとしたり、そういう見方もあるんだ感じたり。ただ、いろんな立場から、ぽつり、ぽつりとつぶやかれています。
実際にpoturiを読まれた「みんなの居宅みまた」の中原 徹成さんからは、
「認知症の当事者も支援する家族も、今後のことが不安でいっぱいであることがわかります。私たちもそうですが、年をとり、いつかは当事者となるのではないでしょうか。認知症になっても、普段の生活と同じように、地域や専門のスタッフがみんなで支えていただき、安心して住み続けることができる社会ができたら素晴らしいと思います。(一部抜粋)」
という感想が寄せられました。
専門職のみなさんのお話を伺いながら、プロでもそんなに悩むんだということを目の当たりにし、私自身も自分の94歳の祖母やその介護をしている母たちの姿を考えずにはいられませんでした。取材時も山元さん、原田さんからありましたが、認知症当事者もその家族も穏やかに過ごすためにという視点が大事なのかなと感じます。
みなさんはpoturiに書かれた声がどのように感じられるでしょうか?
poturiをきっかけに身近な人と認知症について話したり、それぞれの体験や疑問、共感の輪が広がっていくといいなぁと思います。
Poturiは、三股町地域包括支援センターと三股町社協の他、コメーキングスペース コメの中にある「只本屋」にも置いてあります。
読んでみたいなと思った方は、ぜひ手に取って読んでみてくださいね。