CDLマガジン
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vol. 046
profile
宇野鮎子
ライター
仕上がり(納品)をお知らせする写真を見て、「コンクリの上かい!」って笑った。
ストリートカルチャー感が漂ってる気がするのは私だけでしょうか。
気概があるねぇ笑
もも号(オーバーラップvol.3)完成しました。
「私らしく書いていい」と言ってもらったので、思いっきり自分本位に「本当に大切なことって何なんだろうね?」という日々の思いも込めて書かせていただきました。
機会がありましたらお手に取っていただけましたら幸いです。自分の文章が人にどう伝わるのか知れずにいるので、感想とかいただけましたらとっても有難いです。
きっと、今回コーディネート役を務めてくれた社協の吉田君が制作裏話?を書いたりするんだろうなと思っています。が、先日、彼とのやり取りのなかで「そうだったんだ!」みたいな反応がありまして、「そうですよね。言わなきゃわかんないですよね。」と反省したところでございます。
実はこちらの冊子、書けなかったり書かなかったりしたことでもう一冊できちゃいそうなほど大変思い入れ深くできております。以下、きっと長くなりますが、好きに書けちゃう場所があることだし、「この一冊の向こうにたくさんの風景があるんだな」と感じていただけたら…と思って勝手につらつらと述べますので、お時間の許す方、気が向いた方はご覧くださいませ。(ただの私の七転八倒記です)
〇 △ □
もともと非言語に注目しがちで、「この人ってどんな人?」を感覚で得ようとするものだから、頭が回らずに質問もコミュニケーションも疎かになったりしがち。ほかの人に助けられながら、限られた取材時間の中で「この人にとって大切なことって、これかな」という部分を見立てて取材を終え、教えていただいたその人の一生を俯瞰するひとりの時間を過ごす。すると、その人の人生の分岐点や連鎖反応が見えてくる。
どうしてそれが大切なのかを頭と心で確認して、「うん。大事。」と勝手に共感する。いくつかの確認は重ねているものの、「きっとこうなんだろうな」という私の思いはエゴでしかない。取材目的のやり取りの中で、最初から大切なことがハッキリと語られることなんてそうそうないので、言葉の後ろに隠れた言語化されていないその人の本心らしき思いを見つけて、「いいのかな」「大丈夫かな」とおそるおそる汲み出す。
そのエゴが真実である事を願いながら、それを明白にすることは取材した人やその周りの人が傷つくことがないだろうかと恐れたり怯えたりしながら書き進めた。伝えたいと思うことの多くが、とっても個人的で繊細な感情であることが多かった。
相手によっては目からざあざあと水があふれて仕方が無くて、「これは人目を引く事実だけど、オーバーラップの役割からずれる…」と客観的にあれるようにするものの、一度馳せた想いはそう簡単に心から遠ざけることができなくて、なかなか大変な目にも遭った。
人の人生は、視点を変えればまったく違う物語になる。何よりも日頃、好きとか嫌い(快・不快)に分けて自分を身軽にしがちなのに、こんなに一人ひとりに向き合っちゃったらみんな好きになってしまう。もう勘弁してよー。何でもかんでも受け入れる器量なんてないんだってばー。と、とんでもなく自分と向き合う羽目になってしまった。
制作終盤。その人について書いたものを目の前でチェックされるってつらい…と思いながら確認を待つ時間の中で、その人が発する言葉によって、私のエゴが真実になる瞬間に胸を撫でおろすような、赦されるような思いを何度も味わった。
「間違いありませんか?」と差し出した原稿を「その通りです」と認めてもらう作業は、確信がなく迷いがあるからこそ苦しい。「ここが大事だ!」と言わんばかりに如実に書くことはしなかったつもりだけれど、書きたくて書いた。伝えたくて書いたことがある。エゴの極みでしかない。それを見られる。自分を曝け出すのと同じことだ。やめてー。見ないでー。頭からふとん被りたい。バケツでもいい。被せて。正座の足が崩せない。
きっと私の頭と心の中がこんなにもじたばたしてるなんて、誰も思わないだろう。私なんて、基本的に受け身でびびりなだけなんだってば。…人の目にふてぶてしく映ってるのも知ってるけど、いつも一生懸命にならざるを得ないだけの生き物です。
完成本をお渡ししたところ、「あなたたち若いのになんで私の気持ちがわかるの?」と言っていただいたとの報告もあった。すべての人に言えない本音があった。この人の言えない本音も間違いじゃなかった。身近な人たちにもその人のその本音が理解されるといいな。どうか伝わりますように。
作中には、「これってきっと人間の原理だよね」と思いながら、ちょこちょこと身近な人たちに問いかけるような思いで書いた言葉もある。気づくかしら。必要な人に届いて、その人のこれからが豊かでありますように。
書き終えて改めて、生きるって大変だ、とか、自分で自分を褒めようって人生で初めて思えてびっくりしている。あと、身体感覚(五感)が自由な時って楽しいのを久しぶりに思い出せた。これからの自分の道は、もっと自分の楽しい感覚に素直な方がいいなと思えるようになった。
オーバーラップvol.3は、みなさんにどう伝わるでしょうか。
先輩たちの人生があなたの心に寄り添ってくれますように。