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vol. 074

この道30年のベテランママ。閉店した今もみんなの拠り所

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「私にもできるっちゃないやろかと思った」と終始笑顔で話してくれるのは、今村 良子(いまむら よしこ)さん。
先月の記事でご紹介した「スナックサロンひるま」のプレイヤーです。

▲お茶を注いでいるのが今村 良子さん

スナックサロンひるまは、毎月第3火曜日の10時半から今村邸にオープンするスナックサロン。スタートしてちょうど1年が過ぎました。
良子さんは、手料理をふるまったり、そうめん流しや餅つきなど、その時々の季節に合わせた企画や催しをいつも考えてくださっています。

「民生委員をしていた関係で社会福祉協議会とはご縁があって。もともと自分で集まりを開いたりしていたこともあり、このスナックサロンをやってみないかと声をかけていただきました。何したらいいかわからなかったけど、私にもできそうだなと思って始めてみることにしました」と話す良子さん。
実はそんな良子さんは、宮崎市の歓楽街ニシタチで長年スナックを営んでいたママなんです。
そのご経歴に私も興味津々で、今回はいろいろとお話を伺ってみました。

▲2月のスナックサロンひるまの様子

たくさんの人に愛され思い出が詰まったスタンド300

良子さんは三股町出身。バスガイドやクリーニング店での経験を経て、26歳で宮崎市に「スタンド300(さんまるまる)」という店を構えたとのこと。

「スナックのママという仕事を知ったのは、友人たちと宮崎市スナックに通っていたのがきっかけでした。その店のママが三股町出身で、とても楽しそうな姿に、私もやってみたいと次第に思うようになりました。若かったから怖いものなしだったんですね。58歳まで続けましたが、本当に楽しかったです」

開店記念日の節目ごとにパーティーをし、店を閉める時にはたくさんの人に惜しまれながら、盛大なお別れパーティーも開催したと言います。
「写真もたくさん残してるよ」とのことで、思い出の写真を見せていただきました。

▲嬉しそうにたくさんの写真を見せてくれる良子さん

写真を見ると、今ではなかなか見かけないようなとても大きな宴会で、かっこよく着物を着こなす良子さんはとても幸せそう。着物で胴上げをされる写真があったり、本当にたくさんの人に愛されていたことが一目で感じられました。

でも、こんなに慕われていたのに、どうして店を閉めることになったのでしょうか?
「この家に一人で住んでいた母の世話をするために、泣く泣く店を閉め、こっちに帰ってきました。毎日店に立って、たくさんの人に会っていたので、最初の1、2年は寂しかった。でも今では隣近所の人たちがいるから毎日楽しいよ」と話します。
お話を伺っていると、ゴルフをしたり、ご友人と旅行に行ったり、畑仕事をしたり。最近ではグランドゴルフを始めたとのことで、今でもたくさんの人と関わりながら本当に毎日が楽しそうです。

元スナックのママだからこそつくれる場所

三股町に帰ってきてからも充実した日々を過ごす良子さん。ご自宅で開かれるスナックサロンひるまですが、良子さんのお宅はただの家じゃないんです。
広い敷地内には、母屋の外に半屋外のスペースがあったり、カラオケ部屋があったり、畑にピザ釜まで!

店を閉めてからも、長年の常連さんたちが県内外から良子さんに会いに来られるようで、仲間たちと一緒にこの空間を造り上げたとのこと。
良子さんは、「サロンの参加者が口を揃えて楽しみだと言ってくれるのは、毎回場所が変わるからかもしれんね」と話します。

▲自生している蕗のとう。足元にたくさん顔を出していました。

この空間もそうですが、皿や椅子など道具が何でも揃っているのは、良子さんを求めて、いつでも人が来てもいいように備えてある良子さんならではのポテンシャル。
さらに、来た人に目を配り、声をかけて居心地よくいさせてくれるのは、長年スナックのママとして、人を大事にしながら、店を切り盛りしていた良子さんのスキルと人柄のおかげだなと改めて感じます。

最後にスナックサロンを始めて1年が経っての今の気持ちと今後について想いを伺ってみました。
「やってて楽しいよ。何しようかなぁっていつも考えるけどね。でも、この場所が必要な人が来てくれて楽しんで帰ってくれたら、それでよしなんじゃないかなと思ってるよ」
良子さんが長年培ってきた接客スキルが存分に発揮されているスナックサロンひるま。だからこそ、参加者がつい行きたくなる場所になっているのだろうと感じます。
常に自然体でさっぱりとした良子さんと話していると、私もつい「良子ママ」と呼んで人生相談をしてしまいそうでした(笑)
これからも良子さんのスナックサロンひるまを楽しみにしています!

ー後日談ー

ニシタチのビルにはまだ良子さんの店「スタンド300」の看板が残っていると聞き、取材後探しに行ってみました!

▲宮崎市内のニシタチのビルの中に今も残る良子さんの店の看板

閉店してもう13年が経つにもかかわらず、こうしてまだ残っている店の看板。
今回良子さんの歴史をほんの一部聴かせていただき、この場所でいろんな出会いがあり、たくさんの人が笑顔になっていたんだろうなと思うと、私もとても感慨深い気持ちになりました。
もしまだここに「スタンド300」があったら、テンポよくお話しされる良子さんにきっと会いに通っていただろうなと思わずにいられません。いつか良子さんのバリっと決まった着物姿も見てみたい!
良子ママ、お話聴かせていただきありがとうございました。

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